普段何気なく飲んでいる柑橘ジュース。ジュースの多くは、旬にかかわらず多くの種類の柑橘の味を比べられる面白さがあります。特に果汁100%ジュースは濃厚で質の高いイメージがあるかもしれません。そんな果汁100%ジュースの中にも、「フレッシュ」「ストレート」「濃縮還元」の3タイプがあるのをご存知ですか? 実はその3タイプ、作り方も味も全く違うんです。
今回はそんな果汁100%ジュースの「3タイプ」の違いについて詳しく解説します。柑橘ジュースの世界に一歩踏み出してみましょう。みなさまもぜひ、違いを意識しながら柑橘ジュースを飲んで、お気に入りを見つけてみてください。
果汁100パーセントは3タイプ
フレッシュは生搾り
「フレッシュ」はいわゆる瓶などの容器に入らない生搾りジュースのこと。お店やご自身で生の果実をミキサーやジューサーで絞り、その果汁すぐに飲むもので、加工がされていない搾りたてジュースです。
果実そのものの品質が良ければよりフレッシュな味が楽しめるだけでなく、果物が持つビタミンCなどの豊富な栄養素を摂取することができます。また、見た目や香りなど、柑橘ごとの特徴をそのまま楽しむことができる一番贅沢な飲み方です。
ストレートの原料は果実のみ
「ストレート」ジュースは、原料から搾汁した果汁をそのまま商品にしたものです。衛生上の問題から、殺菌処理を施すため、その過程で生搾りに比べるとやや風味が変わってしまいますが、余計な保存料等の添加物は使用せず製造しているので、原料のダイレクトな味を感じることができます。
近頃は6次産業化の波を受け、多くのストレートジュースが登場しています。同じ品種の果物を使ったストレートジュースでも、生産者によって異なる豊かな味わいを楽しむことができるので、飲み比べをして好みのストレートジュースを探してみるのもおすすめです。
搾汁方法も様々で、皮ごと圧搾する「インライン方式」や、皮を剥いて袋ごと搾る「チョッパー・パルパー方式」など果皮の有無で風味が大きく異なるので、商品一つ一つの個性を感じやすい飲み方です。
濃縮還元は一度ペースト状に
「濃縮還元」は、絞った果汁を一度熱や冷凍、真空状態にすることによって果実の水分を飛ばしてペースト状に濃縮したあと、後から水分を加えて味を調整したものです。果実本来の風味が損なわれるため、香料を添加するのが一般的。
例えば、海外製の果物を原料として使用する場合には、果物そのものを運んでくるよりも現地で水分を飛ばしペースト状に加工して運んでくる方が、体積が小さくなった分原価が抑えられます(※輸送コストは、送るものの体積・重さによって決定される)。
果汁100%ジュースの中でも値段もお手頃なので、手軽に原料の美味しさを楽しむことができます。また、水分を飛ばしてから味を調整しているので、長期保存ができ年間を通して同じ味わいが楽しめます。
柑橘ジュースを愉しむ
一昔前までは柑橘ジュースといえば輸入オレンジジュースが一大勢力。しかし、最近ではオレンジの世界的不作を受け、オレンジ果汁の高騰、そして日本国内での6次産業化の推進から、国内各地の生産者発の柑橘ジュースを柑橘産地の直売所だけでなく、お土産店、セレクトショップ、スーパー、インターネットで多く見かけるようになってきました。
同じ果汁100%でも、果汁の取り方や生産者が違えば全く別のもの。加工方法、原材料の品種、収穫のタイミング、収穫からの日数、果実の状態が風味を大きく変えていきます。奥深い柑橘ジュースの味わいと、楽しさを発見してみてください。