柑橘にはすごくたくさんの種類がありますが、それぞれの違いや特徴をご存じですか?
日本では、レモンやゆずなど一部を除いたものをざっくりまとめて「みかん」と呼ぶことが多く、スーパーでは品種名やグループ名ではなく「みかん」とだけ書いてあることも。でも実は、柑橘には一つ一つに個性的な魅力があるんです。
今回は農家さんや業界関係者の方も多く使っている柑橘のグループ分けを紹介し、埋もれてしまっている柑橘の個性にスポットを当てていきます。それぞれの違いを知り、好みや用途に応じた柑橘を選べるようになると、柑橘の楽しみ方がぐっと広がること間違いないでしょう…!
日々の暮らしに役立つシンプルな3つの分類
1. 温州みかん
日本で一番知られている柑橘と言っても過言でもない「温州(うんしゅう)みかん」は、実は品種名ではなくカテゴリー。販売時には、「みかん」の表記のみであることが一般的ですが、出回る時期によって4タイプに分けられ、その中にも細かい品種が100種以上も存在します。
極早生温州
早生温州
中生温州
普通・晩生温州
– 極早生(ごくわせ)温州
9月ごろから登場する温州みかんのトップバッター。別名「青切りみかん」とも言われ、皮が青い早い時期においしくいただける温州みかんです。香りが高く、程よい酸味に特徴があります。代表的な品種に、日南1号(にちなんいちごう)や上野早生などがあります。
– 早生(わせ)温州
11月ごろから出回る、最も生産量が多い温州みかんのスタンダード。甘味と酸味のバランスが良い上に、食べやすいのが特徴です。代表的な品種に、宮川早生や興津早生(おきつわせ)などがあります。
– 中生(なかて)温州
年末にかけて出回る温州みかん。見た目は早生に似ていますが、ぎゅっと詰まった濃い甘味が特徴です。代表的な品種に、南柑20号(なんかん20ごう)や石地温州があります。
– 普通・晩生(おくて)温州
年末から春ごろに出回る「こたつにみかん」のみかん。年末に収穫されたものが、蔵などで1ヶ月間貯蔵した後に出荷されるので、酸味が抜けてまろやかなのが特徴。代表的な品種に、青島温州や大津4号があります。
2. 香酸柑橘(こうさんかんきつ)
生食よりも果汁や果皮を活用することが主流で、香りや酸味を楽しむことができるグループ。「レモン」や「ライム」「ゆず」に代表される香り高い柑橘類のことをそう呼びます。香りがよいため、果汁をしぼって調味料に加えたり、ジュースなど加工用途で利用されることが多いです。
日本各地には古くからの在来品種や地域ごとに発展したローカル香酸柑橘が30種類以上も存在しているのですが、そのまま食べることが少ないこともあり、多くの品種はあまり知られておらず、香酸柑橘という分野の知名度は低い現状があります。
料理の味を引き立てたり、ドリンクやデザートに爽やかさを加えることができるほか、食用以外にも香りを楽しむアロマ素材として化粧品や入浴剤などの原料にもなっています。更には各産地の食文化とも結びつきが深いこのジャンルは知れば知るほど魅力的です。
定番の香酸柑橘
ゆず / レモン / ライム / 橙(だいだい)/ すだち / かぼす / シークワーサー / ベルガモットなど
3. 中晩柑(ちゅうばんかん)
タイプも由来もさまざまな柑橘がバラエティー豊かに入り混じるのが中晩柑のグループ。温州みかんの時期とバトンタッチするように、年明けから5月にかけて登場します。
とりわけ温州みかんとオレンジの交配で生まれた品種の「清見」の誕生をきっかけに、消費者のニーズに応じた品種が盛んに開発され続け、その種類は数えきれないほど…。果皮が薄くみかんのように簡単に手で向け、オレンジのような風味があるものから、種が少ないもの、白皮(アルベド)ごと食べられる品種など、見た目も味わいも個性が光ります。
手近な品種の特徴を掴み、味わいや香りの違いを知っておくと、その時々の気分や状況に応じた柑橘を選べるようになり、柑橘の楽しみがぐっと広がるかもしれませんね。
定番の中晩柑
清見 / 不知火(デコポン)/ ネーブルオレンジ / ブラッドオレンジ / せとか / カラマンダリン / 日向夏 / 黄金柑 / 湘南ゴールド / 文旦 / 河内晩柑など