若手農家が全国から集結、次世代の農業を切り拓く注目イベント【六本木FARMERS MARKET】

自然の中で汗を流しながら収穫することだけが農業体験ではない。農家さんたちにとって商品を売る場所は、畑と同じくらい重要な“現場”だ。その現場に立ち会うこと。農家さんの話を直接聞き、毎日何気なく食べている食材に込められた農家さんの思いを知ること。それは小さくとも強く心に残る農業体験である。

モダンでお洒落な農業体験

2024年8月25日、新しい八百屋の姿を提案する中三青果店と六本木のカフェ・ミュージックバーCommonがタッグを組んだ「六本木 Farmers Market」が開催された。新しい農業体験を多くの人に提供するために企画されたイベントで、当日は全国の若手農家が六本木に集結した。

会場となったCommonは、食・音楽・アートを楽しめる開放的なお店。通常メニューのほか、出店した農家さんの加工品などがメニューに加わった。

右:權之丞farmのりんごジュース、左:Toriko Farmのマンゴージュース

イベント開始直後から多くの人が訪れ、ほとんどのテーブルが埋まる盛況ぶりに。夕方からはDJの演奏もスタートし、さらなる賑わいを見せた。

農家さんの販売ブースは店内の飲食スペースを囲うように並び、参加者はモダンな農業で彩られた空間を楽しんだ。今回のイベントは、私たちが想像する市場のようでもあり八百屋のようでもありマルシェのようでもある、しかしそのどれよりも革新的で優れた購買体験の価値を提供した。

農業を身近に感じさせる個性

イベントで特に印象的だったのは、農家さんや商品のそれぞれの個性がしっかりと表現されていたこと。

はれやか農園(神奈川県)は青みかんを掴みどりや詰め放題で販売。夢中で楽しめる販売方法は「気分がはれやかに」という農園のコンセプトにぴったりだ。

やまのカタチは(山形県)は上質な桃やラ・フランスジュースなどとともにTシャツを販売。ブランドとしてのスタイリッシュな個性を見せた。

全国の若手農家集団SHIKI FARMERS CLUBは、団体である個性を活かし野菜や果物、加工品など色とりどりの商品を販売した。

そして何よりも農家さんの個性を参加者に伝えたのは、農家さん自身の言葉だ。どのような人がどのような思いで作ったのか。農家さんの声にじっくりと耳を傾け、買った商品をその場でゆっくり味わう。農家さんと同じ目線、同じ場所に立つことで、農業との距離が少し縮まった参加者は多いだろう。農業と向き合う場を都会で生きる人々の日常にさりげなく染み込ませたこのイベントは、心に残る新鮮な農業体験を多くの人に提供した。

かなえ

かなえ

1999年生まれ、岡山県出身。映画・ドラマなどの最新エンタメ情報サイトで企画・編集・ライティングを経験した後、神奈川県小田原市へ移り住む。すべての映画と、ほとんどの音楽と、ほとんどの本と、すべてのお酒が好き。星が綺麗な冬の夜も好き。

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