みかん、揉む派?揉まない派? みかんの美味しい食べ方・保管法を解説

「みかんを揉むと甘くなる」おばあちゃんからそう教えられたことはありませんか? 嘘か本当かわからないまま、とりあえず揉んで食べている人も多いのではないでしょうか。今回は、「みかんを揉むと甘くなる」という説は本当なのかを解説します。揉む派の方も揉まない派の方も、ぜひ参考にしてください! ちなみに私は、なんだか怖いので揉まない派です。

理論的には揉むと甘くなる

「みかんを揉むと甘くなる」は、理論的には本当です。より正確に言うと、みかんの酸味が減ることで相対的に甘味を感じやすくなります。ただし、みかんの酸味は味覚で感じられるほど短時間で急激に低下することはないので、迷信だという説もあります。

みかんにはさまざまな成分が含まれていますが、その中でも重要なのがクエン酸。クエン酸はみかんの酸味成分です。みかんを揉むと、傷ついたみかんの細胞を修復するためにクエン酸を消費します。そのため、クエン酸が減少し甘味を感じやすくなります。

揉むだけではなく、軽く投げたり自転車のカゴの中で揺れたり、買ってきてから少し時間をおくだけでもクエン酸が減って甘く感じるようです。

揉まないほうがいい場合も

「揉むと甘くなる」は、理論的には本当ですが、実は揉まないほうがいい場合もあります。

農家さんが酸味と甘味のバランスをこだわり抜いて生産したみかんを食べるときは、そのバランスを崩してしまってはもったいない気もします。初めて食べる品種や、初めての農家さんから買ったみかんは、まずは揉まずにそのまま食べるのがおすすめです。

さらに、みかんは水分が多くとてもデリケートな果物。揉むと鮮度や味が低下してしまうこともあるので、料理人などはみかんを揉まないようにしているようです。揉みすぎは腐る原因にもなってしまいます。

甘いだけではないみかんの魅力

みかんを含む柑橘の旨味は、「糖酸比」と呼ばれる糖度と酸度のバランスが大切です。糖度が高く甘いだけのみかんは、ぼやけた味になります。「甘い」だけではなく「美味しい」と感じるためには、酸味は不可欠なのです。

果物全体では、糖酸比41以上を甘味種、30〜40を甘酸適和種、29以下を酸味種と呼びます。一般的に、みかんの糖酸比は約12〜30が多く、みかんは酸味が重要な果物であることがわかります。

また、甘味と酸味だけでなく旨味や苦味も重要な成分です。そこに食感や香りなどが加わり、全体的な美味しさになります。それらの微妙なバランスの違いでひとつひとつの柑橘に個性的な魅力が生まれます。

みかんを食べるときは甘さだけでなく、全体のバランスを意識すると、みかんの美味しさをより深く理解できるかもしれません。

みかんの味を劣化させない保管法

みかんを放置しておくと酸味が減るとお話しましたが、酸味だけでなく鮮度も衰えてしまう原因になります。みかん本来の美味しさを味わうためにも、適切な保管法を知ることはとても大事です。

みかんは冬のイメージがある通り、高温多湿に弱い果物です。みかんを買ってきたらなるべく風通しのいい冷暗所で保管しましょう。箱入りのみかんを買った場合は、上に新聞紙を被せておくと最適な湿度を保つことができます。さらに、みかんはヘタの近くから水分が蒸発していくので、ヘタを下にして保管すると鮮度を保ちやすくなります。

スーパーで売られているみかんは果実袋に入っていることが多いですが、果実袋は保存に向いているので、袋のまま保管するのがおすすめです。また、傷のあるみかんは腐りやすく、腐ると周囲のみかんにまで腐敗が広がってしまうため、早めに消費しましょう。

みかんを美味しく保管するためのメモ

・傷があるみかんは早めに食べる
・風通しのいい冷暗所が最適
・ヘタを下にして置く
・スーパーで買った場合は果実袋のまま保管
・箱入りの場合は新聞紙を被せる
藤井 叶衣

藤井 叶衣

1999年生まれ、岡山県出身。映画・ドラマなどの最新エンタメ情報サイトで企画・編集・ライティングを経験し、会社を辞めて神奈川県小田原市へ移り住む。すべての映画と、ほとんどの音楽と、ほとんどの本と、すべてのお酒が好き。あとは、星が綺麗な冬の夜が好き。

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