#6 AUGANICS・高松克行さん〜夢は雇用創出!農業を通した思いやり〜

AUGANICSの直売所(八百屋)に足を踏み入れたとき、最初に伝わってきたのは特別感と温もりだった。物語を感じさせる手作りの棚や小物たち。そこに季節ごとのこだわりの生産品や加工品が並ぶ。

川崎市麻生区で様々な野菜や果物を生産しているAUGANICSの高松克行さん。「炭素循環農法」という消毒剤や化学肥料を使わない農法を取り入れている。近年では加工品や国産キクラゲの栽培にも力を入れていて、アパレルもやっているというから驚きだ。

たまにジョークを飛ばしながら、手間をかけることの豊かさと新しい挑戦への想いを語る高松さん。高松さんの農業の形は一言では言い表せないほど多様だが、高松さん自身への印象を一言で表すなら「粋な人」だろう。そんな高松さんはなぜ自然に優しい農法を取り入れたのだろうか。アパレルや加工品などの取り組みを通して実現したい目標はどのようなものなのだろうか。農業に対する想いを伺った。

手作りの温度と自然の力

——すごくおしゃれな直売所ですね! 高松さん自身がDIYで作ったとのことですが、昔から木工作業は得意だったんですか?

父が建築屋をやっていたんです。それで僕もDIYをするようになって、大手の家具量販店で会社員をしていた時期もありました。この直売所は父が建築のために使っていた倉庫を僕が改造して、こんな感じになっています。

ちょっと待ってて、今コーヒーを出しますね。

——ありがとうございます! この棚も手作りですか?

うん。冷蔵庫以外、看板も箱も窓も全部手作り。棚も意外と簡単に作れるんですよ。この外壁はもともと白色だったんだけど、美容室やカフェに間違われることが多くて、少しでも八百屋らしくするために木を貼ったんです。

——かっこいい! 高松さんは会社員のときから「Vege&Fork Market」というオーガニック系のマルシェの実行委員に参加されていたそうですね。

面白そうなイベントだと思って行ってみたらすごく楽しそうで。その場で代表の人を探して「手伝わせてください」と声をかけて入りました。もう10年ぐらい一緒にやっているのかな。

——会社員時代から農業に関わっていたんですね。高松さんは農家としては5代目とのことですが、就農しようと思ったきっかけは?

会社員のとき富山県に赴任していたんですが、家庭の事情でこっちに戻ってきて、別の会社に就職したんだけど、色々肌に合わないこともあったりして。それで、年貢の納め時ではないけどいいタイミングかなと思って、農家を継ぎました。ちょうどその頃、倉庫を有効利用するためにキクラゲの生産を始めようという話がでて、僕がやることになりました。

——キクラゲ栽培の設備は高松さんが一から作ったんですね。

麻生区に防空壕でキクラゲを作っている方がいてね。その方に色々教えていただきながらキクラゲの栽培を始めました。そこから販路を広げていくうちに、なかなかこちらの希望価格で売れないという現実を見て、直売に力を入れようと決めました。それで、父の倉庫が空いていたので、改造してやっちゃおうって。で、やっちゃってるわけ。

——炭素循環農法を始めたのは高松さんの代からですか?

炭素循環農法は僕が始めましたが、無農薬栽培は母の代から行っていました。僕や兄弟が子どもの頃アトピーを持っていたのがきっかけで、母は食べ物に気を遣うようになりました。それで、20年くらい前から無農薬で有機肥料を使った農業をやり始めたのかな。僕も母と同じように安心して生産品を食べてもらいたいという想いがあって、5年くらい前から炭素循環農法という農業を始めました。

AUGANICS・高松克行さんに学ぶ!炭素循環農法(たんじゅん農法)って何?
https://korekara-noto.com/study/carbon-driven-eco-agriculture/

人と人を繋ぐアパレル事業

——高松さんはアパレル事業もされているんですよね。あのチラシに載っているのが販売している洋服ですか?

そうです。最初は自分たちのユニフォームを作ったんだけど、お客さんが「それ売ってないんですか?」と言ってくれてね。アパレルを始めたらけっこう面白くて。もんぺを見せてあげるね。色は7種類くらいあります。

——生地も形も可愛いですね! 

もんぺを作ったきっかけは、若い人たちの応援だったんです。引きこもりの子とか、ちょっと社会に出づらい人たちがいるでしょ。そういう子たちを応援をしているおばあちゃんたちが北海道にいて、そこで僕のもんぺを作ってもらったんです。それをすごく気に入ったので、「僕が売ります」と言ってコラボして作ってもらいました。

パンフレットがあるんだけど、こうやってね、知り合いやお友達にモデルをやってもらっています。

——農作業以外でも着れそうですね。

そうそう。これを着て高島屋とか行っちゃってるよ。いや、そんなに行く機会もないけど。農業の取引先の方たちから大量オーダーをいただいたこともあります。ありがたいですね。

——もんぺを購入してもいいでしょうか? 4月から小田原で農業の研修を受けるので、作業着が欲しくて。せっかくの挑戦なので、想いのこもったものを着たいと思っています!

(購入したもんぺを着用しておしゃれに撮影)

個性を活かすための雇用創出

——高松さんの今後の目標はありますか?

目標は雇用を生み出すことで、そのために加工品に力を入れたいと思っています。この地域は果樹が多くて、周りの農家さんたちも頑張って果物を作ってはいるんだけど、やっぱり後継者不足などの問題で人手が足りないんです。僕も収穫が間に合わない農家さんを手伝ったりするんだけど、売るのも大変だから「あとは全部持っていっていいよ」みたいな話になる。だから、そういう果物を活用して、ドライフルーツを作りたいと思っています。単純にドライフルーツを売るのではなく、和紅茶を取り扱っている仲間と一緒にフレーバーティーを作ろうと思っています。柿、びわ、ブルーベリー、甘夏、柚子など、ドライフルーツにできそうな果物が色々あるんですよ。それをフリーズドライにして、和紅茶と一緒に売りたい。

あとは、たまたま知り合いから米粉をいただいたので、グルテンフリーの麺を作ったり、妻がマフィンを焼いたりしているんだけど、そういうところでも雇用を創出できる。そうやって色々な人が安心して働ける会社を作りたいんです。僕の力だけでは無理なので、手伝ってもらいながらやっていきたいですね。

——わくわくしますね!

農業はただ土をいじるとか収穫するとかのイメージが大きいと思うんだけど、色々な仕事が付随して発生します。例えば、パッケージや、デザイン、営業などもそうですね。そういうことで色々な人の個性を活かせる組織を作りたいなと思っています。まだ、全然なんだけどね。

——僕はデザインの制作業もしているんですが、農業をやってみたいと思ったきっかけは、自分で生産したものをデザインして販売したいという思いが強くなってきたからなんです。「応用のしやすさ」というのは農業の魅力のひとつですよね。

農業は自由度が高いですよね。だから、僕なんかも楽しそうに見えると思います。アパレルなどから農業にも興味を持ってもらえるのは嬉しいですね。でも、楽しむだけではなく、土地を未来に残していくための持続可能性も考えないといけないなと思います。

農業は贅沢な仕事

キクラゲを見に行きますか?

——見たいです!

このやり方でキクラゲを栽培しているのはたぶん日本で僕だけ。何が日本初かというと、塩ビパイプを使っているところです。一般的には金属の水道管パイプとかで作るんです。そのほうが手軽で早い。だけど、僕は5mくらいの塩ビパイプを買って、全部手作業で切って繋げました。タイマーで水が出るようになっているんだけど、金属じゃないからサビが出ないんです。

——手間ひまをかけたこだわりの設備なんですね!

ところどころパイプの高さが違ったりしているんだけどね(笑)。

——自分たちで色々なことに挑戦していて楽しそうです。

僕は面倒くさがりだけど、なんだかんだで楽しい。農家はすごく贅沢な仕事だと思います。僕はやっぱりお客さんに喜んでもらえることが一番嬉しいですね。だから、野菜を配達するときも、メッセージ付きの箱で送るんです。

——受け取った人は絶対に嬉しいですね。高松さんの想いがこもっているのが伝わります! それでは、最後にツーショットを撮らせてください。

ちゃんと目のところにモザイクの線を入れてね。

——何色の線がいいですか?

黒かピンク。

——じゃあピンクで入れておきます(笑)。

お願いします。妻が今マフィンを焼いているから、よかったら食べて帰ってね。

いただいたグルテンフリーのマフィンはとても美味しかったです。お菓子や加工品の情報はSNSから。アパレルのウェブストアもぜひチェックしてみてください!

AUGANICS|公式サイト:
https://auganics.jp/

AUGANICS|インスタグラム:
https://www.instagram.com/auganics_everydayforyou/

AUGANICS|アパレルオフィシャルウェブストア:
https://everydayforyou.stores.jp/

藤井 叶衣

藤井 叶衣

1999年生まれ、岡山県出身。映画・ドラマなどの最新エンタメ情報サイトで企画・編集・ライティングを経験し、会社を辞めて神奈川県小田原市へ移り住む。すべての映画と、ほとんどの音楽と、ほとんどの本と、すべてのお酒が好き。あとは、星が綺麗な冬の夜が好き。

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