【映画と果物】インディ・ジョーンズにお似合いの果物デーツ『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』

インディ・ジョーンズ誕生

インディ・ジョーンズが走ると、歴史が動き出す。ときに大学で教鞭をとる考古学者。ときにムチと帽子をたずさえて世界中の秘宝を追い求める冒険家。ジェームズ・ボンドのようなセクシーな佇まいに、少年ジャンプの主人公のような好奇心。自分勝手でトラブルメーカーという人間らしさも魅力のひとつだ。

そんな愛すべきキャラクター「インディ・ジョーンズ」が誕生したシリーズ第1作目にして、スティーヴン・スピルバーグとジョージ・ルーカスがタッグを組んだ歴史的作品が、『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』である。

1936年、アメリカ陸軍情報部の関係者がインディアナ・ジョーンズ教授(通称:インディ)にある仕事を依頼する。ナチスが探しているという無敵の力がもたらされる秘宝・アークを、ナチスの手に渡る前に発掘してほしいというのだ。インディは、アークのある場所を示す杖飾の持ち主である元恋人・マリオンとともに、エジプト・カイロへ向かう。しかしすでにナチスはインディを尾行しており、波乱に満ちたアーク争奪戦が幕を開けるのだった。

カイロに到着したインディとマリオンに一匹のサルが懐き、ペットとして迎え入れる。マリオンはサルを可愛がっていたのだが、街を歩いているときに突然サルが逃げ出してしまう。気を取られるマリオンに、インディは「ほっとけ、デートに行ったんだろう。君もデート(デーツ)を食え」と言って、マリオンにデーツを差し出す。

砂漠の宝物

デーツは、ナツメヤシの実を乾燥させた食べ物。太陽を浴びて自然に乾燥し熟していくので、「天然のドライフルーツ」と呼ばれている。主な産地はエジプト、イラン、サウジアラビアなどの砂漠が広がる中近東諸国。食物繊維やミネラルなどの栄養がたっぷり含まれるデーツは、古代から砂漠地帯では必要不可欠な食べ物だった。貴重な栄養源として人々の健康を支え、クレオパトラが愛した果物としても知られている。

黒糖のような甘さが特徴で、そのまま食べても美味しく、お菓子やヨーグルト、パンなどと合わせて食べても美味しい。近年では健康維持や美容のために食べる人も多く、世界中で注目を浴びているフルーツだ。

エジプトが舞台の『レイダース/失われたアーク』でも、いたるところにデーツが登場する。インディが食べる予定のデーツに、尾行していたナチスの者が毒を盛るシーン。逃げ出したサルがどこからともなく戻ってきて、デーツをつまみ食いする。その直後、ぐったり倒れてしまったサルを見て、インディは毒入りデーツだと気づき命拾いする。(実はサルはナチス側のスパイだった…!)

クレオパトラが愛し、インディ・ジョーンズが愛し、サルまでもが愛したデーツ。その見た目はジェームズ・ボンドのように洗練されていて無駄がなく、中身は少年ジャンプの主人公のようにエネルギッシュ。世界一砂漠が似合う冒険家には、まさにぴったりの食べ物ではないだろうか。

『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』
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藤井 叶衣

藤井 叶衣

1999年生まれ、岡山県出身。映画・ドラマなどの最新エンタメ情報サイトで企画・編集・ライティングを経験し、会社を辞めて神奈川県小田原市へ移り住む。すべての映画と、ほとんどの音楽と、ほとんどの本と、すべてのお酒が好き。あとは、星が綺麗な冬の夜が好き。

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